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書きあぐねている人のための小説入門 保坂和志

主体が何か?については常に考える癖がある僕にとって、この書籍は大変参考になった。執筆の主体がなにか?つまり、本は主体が、著者なのか?読者なのか?それとも編集者なのか?を明確に示している本だ。

著者が何を見て、なにを考え、そして感じるか?を構築していく作業が執筆なのだ。

また、この書籍は長年僕の本棚に埋もれていたものだった。時機が来たら読んでみよう、と思い買い求めたわけだが、小説の作法、と帯に記されているため、敬遠していた。作法は打破するもの、既成の観念をぶっ飛ばせ!が僕の信条だったため、買っとく、積んどく(積読ではない!)にして、遠巻きにしてしまったものだったが、読んで正解。結局、本には時機到来で読むものではないらしいことが身に染みた。あるもの、現存するものを否定するスタンスに身を置く僕だ、正解がない世界に身を置く保坂氏の執筆スタイルには、悔しいことだが共感できた。