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意図する、それを伝える、という作業の中で、やはり空海さんは飛びぬけているようだ。金胎両部曼荼羅は非常に美しい仏教美術品だが、この書籍の案内に従って、マンダラを実際に歩いてみれば、空海さんが我々に伝えたかったことがよくわかる。
挿絵も素晴らしいが、この書籍は文字で密教の入門を記すというよりも、地図で自分のいる位置を示し、歩く道しるべをところどころに配置してくれている。むしろアミューズメントパークを堪能するような楽しさに満ち溢れている。
人生上の道に迷って読むのも良し。日常で自分が今どこに立っているか知りたいときに読むのも良し。腹が立ったとき、悲しいとき、有頂天になっているときに読んでも良し。感情のありとあらゆるものがこの書籍とマンダラには含まれている。